単身赴任時の住民票は異動が必要? 正しい対処方法を解説
会社員であれば、辞令により赴任先が変更になることがあります。その際に家族と離れて単身生活を行いながら赴任先で勤務する働き方が「単身赴任」です。単身赴任後には様々な手続きが必要になり、住民票の異動に関する対応もその一つです。
この記事では単身赴任が決定した方に向けて、住民票手続きの詳細について解説します。
単身赴任における住民票の異動は義務ではない
単身赴任における住民票異動は法律で定められた義務ではありません。ただし、異動の意思がある場合には14日以内に転出証明書を新たな市町村に提出する必要があります。また、違反に際しては一定額以下の過料を課せられる可能性があります。(住民票の異動意思がない場合にはその限りではない)
住民票の異動が必要になるケース
異動義務はない住民票ですが、異動手続きを行った方が良いケースも存在します。
- 単身赴任の期間が長期(1年以上)となる場合
- 生活の拠点が赴任先になる場合
これらの事例に当てはまる場合には住民票の異動をおすすめします。
単身赴任先へ住民票を異動するメリット
様々な行政手続きが可能になる
免許証の本試験(教習所卒業後)や更新、パスポートの取得に代表される行政文書や証明を取得することが可能になります。
選挙権を行使できる
単身赴任先の地域において選挙の投票を行うことができます。ただし、住民票の移動から3ヶ月経過している必要があります。
地域の行政サービスを受けられる
単身赴任先の各地方自治体における行政サービス(健康診査や子育て支援など)を利用することができます。
単身赴任先へ住民票を異動するデメリット
地元の自治体における行政手続きができない
住民票は二重登録ができません。転居先に住民票を異動した場合には転居前の居住地における行政手続きは不可能になります。運転免許証の更新などに手間が掛かってしまう可能性があるでしょう。
地元の自治体において行政サービスが受けられない
各地方自治体の行政サービスは住民票がなければ利用することができません。またサービスの内容や条件は地域によって違いがあります。行政サービスが充実している地域から住民票を異動する場合、異動後の地域の行政サービスを確認しておいた方がよいでしょう。
単身赴任後に住民票の異動が必要になる
元の居住地に戻る際には再度の住民票異動が必要です。短い期間内における行政手続きは負担となります。
住民票の異動基準は「生活拠点」の所在
住民票の異動を迷う場合には自分自身の生活拠点を基準に決定しましょう。単身赴任先が遠方かつ長期におよび、家族の暮らす居住地への帰省回数が少ない場合には住民票の異動を検討すると良いでしょう。
単身赴任先が近隣かつ短期間であれば、家族の居住地へ帰省する回数も増える可能性があります。そのような事例では無理に住民票を異動する必要はありません。
住民票の異動によって生じるメリットやデメリットは個々の生活環境によって異なります。単身赴任後の生活様式を考慮した上で判断することが大切です。
住民票の異動手続きに必要なもの
住民票の異動には転出届と転入届を該当の市町村の役所(役場)に提出する必要があります。手続きの際には所定の持ち物を持参しましょう。
- 印鑑(シャチハタでないタイプが望ましい)
- 身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
- マイナンバーカード(または住民基本台帳カード)
- 保険証等(国民健康保険証、介護保険証など)
また、本人以外の手続きには代理人を立てなければなりません。代理人手続きを行う際には、上述の内容に加えて委任状と代理人の印鑑、および本人確認書類が必要です。
単身赴任で住民票を異動する際に気を付けたいポイント
住民票の異動を行う際に忘れがちな手続き上のポイントは次の通りです。
世帯主の変更
現住居における世帯主が自分自身である場合には世帯主の変更が必要です。変更から14日以内に世帯主の変更届を管轄の役所(役場)に提出する必要があります。15歳以上であれば、子供でも世帯主になることができます。
【必要なもの】
- 印鑑
- 身分証明書(顔写真がない場合には原則として2点以上)
- 国民健康保険証(加入者のみ)
身分証明書の住所変更
単身赴任先に住民票を異動し住所が変更になった際には、運転免許証の住所も変更しておきましょう。住民票の住所と運転免許証の住所に差異があることで様々な手続き上の弊害が発生します。免許証の住所変更は、新しい住所を管轄している運転免許センターや警察署で行うことが可能です。
【必要なもの】
- 運転免許証
- 単身赴任先の住民票の写し
- 運転免許証記載事項変更届
まとめ
単身赴任時の住民票異動は義務ではありません。異動によるメリットやデメリットを把握し、自分自身の生活環境を鑑みて決定しましょう。