単身赴任中の税金はどうなる? 住民税や諸手当に関する疑問

単身赴任中の税金はどうなる? 住民税や諸手当に関する疑問

単身赴任中の税金支払い関して疑問に思う方は多いかもしれません。特に住民税は居住地との関連性が高い税金であり混乱してしまいます。この記事では、単身赴任に関係する諸々の税金の疑問について解説します。

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単身赴任中の住民税はどこから課税される?

個人に関係する住民税は都道府県民税と市区町村民税からなる個人住民税です。住民税は1月1日時点で住所所在地として申請されている(住民登録がされている)市町村へ前年の所得に応じた税額を納めなければなりません。

住民税の納付書は6月に発送されます。1月1日以降に単身赴任による転居で住民票を異動した場合でも、その年は旧住所の自治体へ住民税を納めることになります。

〈具体例〉

2020年の1月20日に東京都新宿区から北海道札幌市へ3年間の単身赴任。引越しに伴い住民票は異動済み

  • 2020年の6月には新宿区から住民税の納付書が届く(新宿区へ納税)
  • 2021年の6月には札幌市から住民税の納付書が届く(札幌市へ納税)

ただし、個人住民税には所得割額(納税者本人の所得に応じた税額の負担)と均等割額(一定以上の所得がある者に対し課せられる税額の負担)が存在します。単身赴任では1月1日時点の居住地で所得割額および均等学割を支払い、赴任先で均等割額を支払う必要があります。

単身赴任手当は課税対象になるのか

家族と離れ別々の居住地で暮らすことになる単身赴任では様々な負担が発生します。現在では多くの企業が単身赴任者を対象とした諸手当を設け、負担の軽減に努めています。

単身赴任手当の種類や条件は各企業によって異なり家賃手当や帰省手当など多岐に及びますが、ほぼすべての手当は課税対象となります。単身赴任手当は給与の補填として支給されることから税額控除の対象とはなりません。

ただし、一部の交通費など職務上必要な出費と認められた場合に限り経費として計上できる事例も存在します。

単身赴任者も利用できるかもしれない「特定支出控除」

特定支出控除とは、給与所得者が業務上の特定支出に該当する支払いを行った事実があり、該当の支払いが予め決められた「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」を超える場合のみ、確定申告によって超過分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度です。

特定支出とは

控除のための特定支出には該当する範囲が存在します。

【特定支出の内訳】

通勤費 職場に通勤するために通常必要とされる支出
職務上の旅費 出張時に発生する旅費などの支出
転居費 転勤等により転居が必要になった際に掛かる支出
研修費 業務上必要な技術や知識を獲得するために受ける研修支出
資格取得費 業務上必要な資格取得に際して発生する支出
帰省費 単身赴任時に自宅へ帰省するために必要な支出
勤務必要経費 給与支払い者より業務上必要と判断されて以下の支出(上限65万円までに限る)
図書費 書籍や刊行物の購入支出
衣服費 業務上必要な制服、作業服などの購入支出
交際費等 業務上必要な交際、接待およびそれに類する行為支出

特定支出控除は労働者本人が必要費用を自己負担している範囲に限り適用されるものであり、予め手当として支払いが約束されている費用や一時的に建て替えた費用などには適用されません。

特定支出控除の適用有無を確認するためには

特定支出控除額の適用基準となる金額は給与所得控除額に1/2を乗じた額を超過した場合であり、具体的な特定支出控除額は計算によって算出する必要があります。

【特定支出控除額の計算式】

特定支出額の合計 −(給与所得控除額×1/2)

〈具体例〉

「令和2年の年収が400万円で研修費が30万、資格取得費が50万であった場合」

給与所得控除額
400万円×20%+44万円=124万円

特定支出控除額の適用判定の基準となる金額
124万円×1/2=62万円

特定支出の合計額
30万円+50万円=80万円

特定支出控除額
80万円−62万円=18万円

よって、18万円が特定支出控除として申請可能です。

※特定支出控除や給与所得控除の計算方法や基準値の詳細は〈参考〉をご参照ください。

計算の結果、プラスとなった金額が特定支出控除の対象額となりマイナスの場合には控除を受けることはできません。なお、特定支出控除は給与の支払者から証明を受けたものに限られ、確定申告の際には特定支出に関する明細書および証明書の添付が必要です。

まとめ

単身赴任中に会社から受け取る諸手当は課税対象となります。ただし、特定支出に分類される額に関しては要件を満たすことで控除することも可能です。単身赴任の際には関係する手当や控除内容を理解し正しい納税を行いましょう。

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